Facebookが動画ファースト戦略を掲げ、動画クリエイター向けのアプリをローンチするなど、ソーシャルメディアにおける動画の重要性はさらに高まりを見せています。今回は、2014年からYouTubeを始め、最近ではダルビッシュの練習に参加するなど、野球好きなら知らない人はいないYouTuber クーニンさんに、配信におけるこだわりを伺いました。
プロフィール
クーニンさん
2016年には草野球チーム「クーニンズ」の立ち上げや、ダルビッシュ投手との合同トレーニングを行うなど、要注目の野球YouTuber。
https://www.youtube.com/channel/UCeEw2Utee_-P8-KZYTzuUsw
はじめは「野球」じゃなかった
日比:YouTubeをはじめた、きっかけは何だったのでしょうか?
クーニンさん(以下、敬称略):本業の上司がYouTuberだったんですよ。一緒のチームになったことをきっかけに、いっしょにしてみない?勝負しようよ!って誘われて。それが2014年の11月ころでしたね。正直なところ、最初は付き合いではじめた感じです。
日比:野球にしたのは、なぜでしょうか?
クーニン:はじめた時は野球じゃなかったんです。チャーハンの作り方とか、懸垂とか、思いつくことをやってました。でも、勝負していた上司が「僕の方が勝ってるね〜」と発破かけてきて。そこから本腰をいれ直しました。得意の野球をテーマにした動画をアップしたら、いままでの動画の10倍くらい(1日30再生が300再生くらいに!それが凄く嬉しかった)みられたんです。それからですね、野球に特化していったのは。
毎日の「期待」を積み上げていくことがポイント
日比:毎日配信するスタイルは最初から?
クーニン:はい。毎日、それも決まった時間にアップすることに意味があると思います。同じ時間に見に来てくれる、一定数のユーザーの期待に毎日応え続けていくことが、かなり大切なんだと思っています。イメージとしては、連続テレビ小説・朝の天気予報なんかに近いかもしれませんね。
日比:とはいえ、毎日撮影して編集してって大変ですよね。何がモチベーションなのでしょうか。
クーニン:再生回数などの数字がたまっていくこと、あとは反応が返ってくることは続けるモチベーションになっていると思います。「おもしろかった」「いいね」とかコメントもらえたり。逆にユーザーさんにアドバイスをもらうこともあります。以前「グローブの型付け方」を配信したとき、ユーザーさんから、「その方法だけじゃないよ」って教えてもらえて。その後、教えてもらった他の方法も配信したら、ありがとうと言っていただいたことがありました。
そういう小さい入りでリーチできて、かつ誰かの役に立てるYouTube上のコミュニケーションが好きだったのかもしれません。だから、初期のころはコメントも全部返していました。当時は10分撮って15分で編集するような、簡単な内容でしたけれどね。
日比:伸びたきっかけ、伸ばすコツはありますか?
クーニン:2016年の4月に横浜高校の方とキャッチボールしたんですよ。その時の動画が意外にもヒットして。その動画をきっかけに、他の動画もみられるようになった気がします。
この横浜高校の動画をアップした後に、気付いたのが、動画には二つのタイプがあるということです。1つは、特定のタイミングで瞬間的に多く見られる動画。例えば、逆一本足打法とか、ドラフト関連の動画とか、速報性の高いプロ野球実況動画のようなものです。
もう1つは、毎日少しずつ見られていく、ロングテール型の動画。例えば、スキルアップ動画やグローブ手入れ動画などがこれにあたります。この2つのタイプを意識して動画をつくるようになりました。
いつ伸びたかで、誰に刺さったかを想像できる
日比:具体的に、何をみて、どのようなことを意識していますか?
クーニン:YouTubeアナリティクスのリアルタイム視聴の推移や変動はずっと見ています。1日に100回以上は見てまして、コンテンツづくりに活かしています。
視聴される時間帯ごとに大体のユーザ属性も把握していまして、どの時間の再生が多いかで誰に刺さったか、またキュレーションされた場合は流入元のページを確認したりします。
日比:タイトルづけのポイントはありますか?
クーニン:左端ほど重要なキーワードを入れることを意識していますね。あと、スマホでみたときに切れてしまうので、文字数は少ない方がいいかなとも思っています。他には、注目度の高い話題やワードを入れたり。
日比:サムネイル画像の編集のコツがあれば教えてください。
クーニン:スマホで見られることを意識して、できるだけ大きなテロップにしています。ただ、ブルペンの動画だけは文字を入れないんです。ブルペンの絵だけで、十分印象的なので、そのままの絵を活かすようにしています。その他は、自分が昔つくったもので、たくさん見られているクリエイティブを参考にしていますね。細かいところでは、YouTubeの右下の部分は、再生時間が表示マークとかぶってしまうので文字をいれないようにしています。
日比:動画を撮影するときのポイントは?
クーニン:声だけは、ちゃんと入るように気をつけています。あとはアングル。コンテンツによってアングルを決めていますね。ブルペンのときは手元が真ん中にくるようにとか。プロ野球実況の時は、プロ野球の中継と視聴者ができるだけ同じ視線でみられるようにする方が、見やすいだろうな、とか。
まずはインストール。ググって上達していけばいい
日比:撮影道具は何を使っていますか?
クーニン:デジタル4Kビデオカメラレコーダー(FDR-AX40)と集音マイクと、Adobe Premiere
ですね。Adobe Premiereはかなり長い間つかっています。
http://www.sony.jp/handycam/products/FDR-AX40/
こういうのって、取扱説明書や教科書を先に買うんじゃなくて、まずインストールするのが大切だと思います。いきなり全部使いこなすのは難しいので、わからないところをググりながら、徐々につかえるようになればいいんです。
日比:配信方法に関して、今アツい分野はありますか。
クーニン:実況中継やライブ配信も最近やりはじめています。12月3日はパ・リーグTVさんを巻き込んでボーイズの大会をプロ野球中継さながらのライブ配信することになったんですよ!
ここをチェック!→ http://tv.pacificleague.jp/nakamuranorihirocup/
また、YouTubeでもライブ配信が可能で、たまに公開時間に動画が間に合わない時、お詫びの意味も込めて生配信する時があります(笑)
同時アクセスで600-700ほどあり、コメントが異常にアクティブなのでやってて楽しいです。まだまだYouTubeライブをやっている人が少ないので、YouTubeライブの「急上昇」に取り上げられやすく、ここは上手な使い方を確立できればチャンスが眠っている穴場だと思います。
まずは野球軸で活動の幅を広げたい
日比:クーニンさんがこれから挑戦したいことは?
クーニン:こういう活動のもっと先のところで、いつか「野球バー」みたいな野球好きがあつまる居酒屋とかやりたいですね。あとはどこかの団体を巻き込んで無料で誰もが使える野球施設を作りたいです。
また、2017年は球活アンバサダーという役職をいただいて、12球団とメーカーさんと一緒になって、野球をもりあげる活動に関わらせていただいているんですけれど、そういう、野球に関わるいろんな人といっしょに、何か仕掛けていきたいとも思っています。
あとは漫画家デビューですかね(笑)子供の頃からずっとなりたいなと思っていて、漫画投稿サイトに投稿したこともあります。もともとスポーツライター志望でしたので、ライティングもしたいのですが、まとまった時間が取れそうもないのでできていないんです。ほんと挑戦したいことは山ほどあります!(笑)
こんな人はYouTuberに向いている
日比:どんな人がYouTuberに向いているのでしょうか?
クーニン:ユーチューバーになりたいと思っています!という声もたまにいただきますが、何でも自分でやりたがる人は向いていると思います。僕がそうですので(笑)
あとはコツコツやるのが好きで、多少の批判にもどこ吹く風のメンタル、今まで誰もやったことのないようなことをやりたいと思っている人…多分そういう方はすでに動画投稿しているんじゃないかなと思います。YouTubeって人見知りでもできる。部屋で一人でカメラ回すのって緊張しないんで、恥ずかしいって気持ち全然ないんです。
外ロケとかは多少恥ずかしいですけど、自分の別の人格の演者がやってる感覚でやると何となくそれも耐えれます。なので、インドアで革命的な思想の方は是非YouTubeを始めてみてはどうでしょうか(笑)
準備は後から。まずは1本アップしてみることが大切
日比:最後に、これからYouTuberになりたい人に一言アドバイスをお願いします。
クーニン:動画をあげるまでの “準備” でおわっちゃう人や、動画をあげるまでにハードルを感じて、躊躇してしまっている人が多いと思います。でも、そうじゃなくて、とりあえず1本、まずはアップしてみることが何より大切だと思います。そして、コメントも全部許可して、ユーザーさんの反応をきちんと見ていく。これって、全部スマホ1台でできる簡単なことだから。とにかくやってみること、どんどん配信をしてみることが大切だと思います。
僕はプロ野球選手でも何でもないので、クーニンTVは「野球のメディア」だと思って日々運営しています。基本的には僕の気になったことや興味のある野球に関することを紹介していますが、YouTubeをはじめなかったら、絶対に人生で交わることのなかったであろう人たちと出会えているのが今考えてもすごいなと思います。プロ野球選手に限らず、小さいころ憧れだった野球選手と、いっしょに仕事をさせていただいて、YouTube始める前は想像もつかなかったようなところに立っています。
なので、まずは何でもやってみることが重要かなと思っています。とにかく楽しんでやってみて、たくさん失敗をして、どうやったら良くなるかを繰り返していけば必ず何かが生まれていると思います!
インフルエンサーラボ副編集長 兼 コミュニティマネージャー / 個人が自分の強みを発揮して、輝ける社会にする!もっと個性豊かな人たちが発信力を持つことで、社会は面白くなると思う。インフルエンサーラボでは、インタビューを通して、インフルエンサーの魅力を伝えていきます。
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