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日本はこんなに面白い。アメリカ人Youtuberが語るYoutubeのいまと今後
インタビュー

日本はこんなに面白い。アメリカ人Youtuberが語るYoutubeのいまと今後

J Vlogger (ジェーヴロガー) という言葉をご存知でしょうか?日本についての情報を、英語などの他言語で発信するYoutuber (ユーチューバー) の総称です。Kemushi-chan (けむしちゃん) の愛称で活躍するロレッタ・スコットさんに、日本を発信し続ける想いや、Youtuberとしてのこだわりを聞いてきました!

プロフィール

ニューヨーク出身。起業家一家に生まれ、高校生の時から家族の会社のマーケティングを手伝う。言語や料理から日本に興味を持ち始め、大学卒業後に来日。

Yummy Japanに所属をしてYoutuberとして活躍する傍ら、大学院にて経営学修士号を取得中。

まだまだ伝えたい日本がたくさんある

日比:早速ですが、Youtubeを始めたのはいつからですか?

スコットさん (以下、敬称略):本格的に始めたのは2年前からです。ただ、10年前から動画はアップしていました。当時、日本語の勉強をしていたので、その勉強の一環として動画を作っていました。Youtuberのジャンルで行くと、EDUという教育関連のジャンルの動画だったんです。

そこから、2016年に日本に学生として来れることになって、日本の学生ライフや文化を発信するようになりました。私のオーディエンスは日本に興味を持っている人たちだったので、日本に来たことでより面白いコンテンツが作れるようになりましたね。

日比:実際にどんなコンテンツを配信しているんですか?

スコット:今は、Vlogという動画形式のブログが流行っているので、大学院での出来事などをあげてます。10月の中旬に大学院の成績が出たので、その報告動画とか!あれは緊張しましたね。

あとは、事務所を通じてオファーをもらうこともあるので、オファーに応じてレストランの紹介や日本の地方の紹介動画をあげることもあります。

日比:企業などとのコラボの部分、あとでたっぷり聞かせてください!大学院に行きながら、Youtube動画も作るってものすごく大変だと思うのですが、なぜ続けられるんですか?

スコット:本当に大変です。撮影した後も編集作業があるので、やりたくない!ってなることもあります。でも、見てくれる人からのコメントやコミュニケーションがすごく楽しい。また、新しいスタイルの動画を上げた時に、どんな反応がかえってくるだろうっていうあのワクワク感もすごい好きなんです。だから続けられますね。

6ヶ月先のコンテンツを考える

日比:Youtubeってどうしても撮影から編集まで作業量が多いからこそ、初めるハードルが高いと感じている人も多いと思います。そこで、どうやって動画を作っているのか細かく教えて欲しいです!まずは、どんなカメラを使っていますか?

スコット:YoutubeからCanon 60Dと三脚など道具を一式もらっていて。それをずっと活用しています。以前、EDU動画を上げていた時に、本社のブートキャンププログラムに参加者として呼ばれたことがあり、そのときに頂いたものです。

日比:ブートキャンプなんてものがあるんですね。では、編集に活用しているソフトはなんですか?

スコット:Youtuberの中でよく使われているソフトは、Sony VEGAS / Adobe Premiere / Final Cutの3つですが、私はSONYのパソコンを使っていることもあり、VEGASを使っています。

大学の学部時代、映画音楽を勉強していたときに、Final Cutを活用して動画編集を学んだので、その経験がが今にいきています。

日比:配信する内容はどのように決めているのですか?

スコット6ヶ月単位でプランニングをしています。配信したい内容や、学校の行事、Youtuberの中で流行る季節のコンテンツなどを書き出して、どのタイミングで撮影するのかなどをスケジュールに落とし込んでいます。

以前、思いつきで配信したことがあったのですが、その動画にテーマがないと、見ている人も迷子になってしまう。何が伝えたいのかわからなくなってしまうので、テーマ設定がものすごく大事だと感じるようになり、プランニングしています。

また、Youtubeのアルゴリズムが変わりフォロワーが増えにくくなったので、できるだけ同じ曜日に配信することで、戻ってきてくれやすいようにしています

日比:6ヶ月ってすごいですね。夏に冬のプランを立てるってことですよね。

スコット:そうですね。プランニングすることで、動画の最後に次の動画の告知を入れられたり、チャンネルの一貫性も出しやすくなるので、おすすめです。

このプランニングによるテーマ設定と、同じ曜日の配信を始めてから6ヶ月でフォロワーが2倍になりました。

アナリティクスを徹底的に見て、コンテンツを考える

日比:Youtubeにもアナリティクスがあると思いますが、それは活用していますか?

スコットアナリティクスはめちゃくちゃ見ています。どんな動画が伸びているのか、推移してくるチャンネルはどんなチャンネルなのか、自分の動画にたどり着いている検索ワードはなんなのか、など。

まさに、ウェブマーケティングと同じ感覚だと思います。ウェブサイトにたどりついてもらうために、どんなところからウェブサイトにたどり着いているのか、類似サイトや検索ワードを見て、ウェブサイトを改善しますよね。あの感覚と同じです。

日比:Youtubeのアナリティクスでそこまで見れるんですね。Youtubeの中で、動画スタイルのトレンドはあるのでしょうか?

スコット:トレンドは必ずありますね。今年はサムネイルに顔文字を入れたり、後ろの壁紙を綺麗にするなどのトレンドがあります。

また、12月はVlogmasというクリスマスイブの24日まで毎日動画をあげる行事のようなものもあります。これは、毎年恒例行事なので今年は私も挑戦しようと思っています。

日比:あとは、どんなものが動画作成に影響を与えるのでしょうか?

スコット:何よりも、Youtubeのアルゴリズムです。変更前は、購読を促すスタイルで、動画の面白さがフォロー話の獲得につながっていたのですが、今はタイトルやタグが重要視されています。タイトルが本当に重要で、タイトルに特定の単語を入れないと、関連動画にも表示されないので、なかなか自分の動画に人がたどり着くような導線を作りにくくなってしまいます。

ちなみに、この仕組みをわかっていない日本企業は多いですね。タイトルが大事だと伝えても、どうしてもタイトルに何か入れて欲しいと言われることもあります。

Youtuberは新しいマーケティングのチャンネル。ウェブ広告でもTV広告でもない

日比:まさにその企業とのコラボについて質問です。アメリカと日本で、企業とのコラボ方法に違いはありますか?

スコット:全く違いますね。アメリカでは、企業が直接連絡してきたり、自分からブランドにアプローチしたりしていました。基本は直接契約で、先方もYoutuberを求めているから、ビジネスライクに話し合いが行われ、スムーズに進む。

一方で、日本はいい意味でも悪い意味でも事務所がないと成り立たない状態です。企業は、ウェブ広告やTV広告の感覚でYoutuberを扱うので、直接対応するのはとてもじゃなく大変です。例えば、Youtuberが作った動画に対して、細かい修正を求めるとか。Youtuberはチームがあるわけじゃなくて、撮影も編集も一人でやっている人が多いので、修正を入れるとさらに1週間の労力が必要になります。それをわかっていない方が多い。

また、個人に依頼をするのに抵抗があったり慣れていない企業も多い。そういう部分を事務所が補っていると思っています。

日比:事務所は、企業との交渉と手続きのスムーズさを担保しているんですね。

スコット:そうです。私も日本に来た当初は個人で動いていましたが、どんどん企業からのオファーが来なくなったので、不思議に思って友人に聞いたところ、日本の状況を知りました。その後ですね、事務所に入ったのは。

日比:事務所が企業との間に入るからこそ日本だと動きやすいということでしたが、課題はありますか?

スコット:事務所が案件を持ってきてくれるのは非常にありがたいです。ただ、もっと事務所が企業とYoutuberの両者に対してやり方を教えていくべきとも思います。そして、日本の企業が企業広告の代わりとしてYoutuberに広告を依頼するのではなく、Youtuberというマーケティングチャネルを理解してコラボできるようになったら嬉しいです。

目の動きや表情から、嘘はすぐ伝わる

日比:企業側の課題をお話いただきましたが、日本では特に若年層の広告嫌いが語られています。Youtuberとして企業からのオファーを受けるときに気をつけていることはありますか?

スコット:ありますね。日本でも海外でも、視聴者は広告に対してものすごくシビアに反応します。その中で、動画は嘘がものすごく伝わりやすいメディアだと思うのです。目の動きや表情から、本当に思っていることを話しているのかがすぐわかる

なので、スポンサーをいただいているときは、必ず明示します。また、ブランドから説明文をもらいますが、自分で使ってみてから自分の言葉で語るのを徹底しています。

私の友人Youtuberの多くはそういう意識でやっていますね。だからこそ、信頼性が高く、友人からの口コミに近いものが作れるのがYoutubeの強みだと思います。

日比:企業からのオファーを受ける受けないはどう判断していますか?

スコット:間に事務所が入っているので、そこで一度スクリーニングが入っています。また、基本的には6ヶ月ごとでテーマを設けているので、そのテーマに合わないものは、受けないようにしています。

日比:Youtuberとして課題に感じていることはありますか?

スコット:日本のYoutuberに関わる課題が二つあると思っています。一つは、Youtuberに明確なキャリアパスがないこと。海外だと、テレビキャスターやその影響力を生かした起業など、複数のキャリアパスを進むロールモデルが存在します。ただ、日本だとそのロールモデルがほとんどいない。Youtuberで有名になったあとどうするのか、をそろそろ考えなければいけないのではと思います。

もう一つは、VISAの問題です。地方創生や訪日外国人の増加などにより、J-Vloggerへのオファーは増えていますが、フルタイムのYoutuberが職業と認められずビジネスVISAが降りなくて母国に戻らなくてはならなかった友人もいます。ニーズはあるのに、制度が整っていないのは大きな課題だと感じています。

チャットで世界中のYoutuberと情報交換する

日比:先ほど、友人Youtuberというお話がありましたが、Youtuberのコミュニティがあり、そこでお話いただいたトレンドなどを共有しているんですか?

スコット:そうですね。Youtuber Meetupが各地で開催されていますし、ネットワークはグローバルで構築されています

日本と違い、海外では個人で企業と契約をしています。そんなときに、オファーをもらったこの企業は信頼できる企業なのかって個人では判断できないじゃないですか。だから、同じ企業からオファーをもらったことがある人がいないか、コミュニティの中で質問をするんです。ある企業が悪い対応をすれば、一気にグローバルで広がるので、気をつけた方がいいです (笑)

日比:J-Vloggerの方だけかと思っていたのですが、グローバル規模でネットワークがあるんですね。

スコット:そうです。LINEやMessengerで情報共有しています。

伸びているからこそ、新しいことに挑戦する

日比:今後の方向性を教えてください!

スコット一つのソーシャルメディアでフォロワーが増えているタイミングで、活用するSNSを複数にしていくことが大事だと思っています。今、Twitter, Instagram, Twitch(※)などに注目しているので、積極的に他のSNSも活用していきたいですね。

また、カップルチャンネルも新しく最近始めました。先月地元のNYに帰って結婚したのですが、夫が来年には日本に来る予定なので二人で作っていこうと思っています。

※Amazon.comが提供するライブストリーミングサービス

日比朝子
ライター
日比朝子

インフルエンサーラボ副編集長 兼 コミュニティマネージャー / 個人が自分の強みを発揮して、輝ける社会にする!もっと個性豊かな人たちが発信力を持つことで、社会は面白くなると思う。インフルエンサーラボでは、インタビューを通して、インフルエンサーの魅力を伝えていきます。

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