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インスタ開始1年半で、フォロワー26万人超え。浮世絵スタイルの「あるある」が大人気、山田全自動ができるまで
インタビュー

インスタ開始1年半で、フォロワー26万人超え。浮世絵スタイルの「あるある」が大人気、山田全自動ができるまで

Instagramではフォロワー264,000人、Twitterではフォロワー77,000人を抱える山田全自動さんををご存知でしょうか?

山田全自動さんが発信するのは、浮世絵調のイラストと日常の「あるある」。思わず「あるある!」と、クスッと笑ってしまう身近なネタは、多くの人に支持されています。アカウント開設からたった1年半にも関わらず、その人気は絶大で、ひとたびSNSで投稿すれば、Twitterであれば数百リツイートはあたりまえ。数千リツイートもざらにあり、Instagramであれば万単位でいいねされることも珍しくありません。

このイラストやネタはどのように生まれ、どのようにフォロワーを獲得してきたのでしょうか。山田全自動さんにここに至るまでの経緯を伺いながら、SNS投稿におけるコツなども探っていきます。

プロフィール

山田全自動さん

本名は山田 孝之さん。福岡に拠点をおくウェブデザイン会社、株式会社クラウドナインの代表取締役社長を務める。その傍ら、日常の「あるある」ネタを浮世絵調イラストとともに、SNSで発信。アカウント開設からわずか一年半で、Instagramフォロワー264,000人、Twitterフォロワー77,000人を獲得し、書籍を発売するほど大人気に。現在では、個展開催や企業とのコラボレーション企画など、活動の幅を広げている。

▲山田全自動さんの、ある日の投稿。浮世絵調イラストと台風の日「あるある」で、いいね!数は20,000を超えている。

自分のスタイルを模索し続けた、1,000日間

日比:InstagramやTwitterを始めとするSNSで浮世絵調イラストを発信されていますが、発信するに至った経緯を教えてください。

山田全自動さん (以下、敬称略):イラスト発信は、僕が本業としている、webデザインの仕事がきっかけになっています。僕は現在、福岡を拠点としてwebデザインの会社をやっているんですが、お仕事を頂く中でwebサイト内のコンテンツの一つとして、イラストを描いてほしいという依頼が多かったんですね。はじめはイラストレーターの方にお願いしていたのですが、自分でイラストを描くことができれば、より仕事がスピーディーになるし、デザインのバリエーションも広がるのではないか。そう思って、練習でイラストを描くようになりました。

それがだいたい5年前。それ以来、1日1枚イラストを描き続けています。

日比:5年も前から、毎日1枚描き続けているんですか?

山田:はい、今でも毎日描いていますね。

イラスト練習を始めるからには、上達のためにしっかりと続ける必要があると思っていたので、1日1枚SNSにアップするという課題を自分に課しました。さらに、途中でやめることがないよう、当時から運営しているブログ「Y氏は暇人」のSNSフォロワーさん1万人に、「今日から1000日間イラスト練習を続けます!」と宣言したんです。

日比:それは、やめられないですね(笑)。

山田:そう(笑)。「1,000日後どうなっているか見てください!」と公言して、スタートしました。

それからは、作風を模索しながら描き続けましたね。人物や景色といった普通のイラストもたくさん描いていました。どんなイラストがいいだろうかと毎日試す中で、なんとなく浮世絵っぽいイラストを描いてみたところ、それがすごく評判が良くて。であれば、このスタイルを追求してみようと思い、それ以来、浮世絵調の作風を描き続けています。そこが山田全自動の原形ですね。

イラストがハマったのは、facebookではなくInstagram

日比:それは、イラスト練習を始めてからどれくらい経ってからのことですか?

山田700枚目くらいだったと思います。でも、そこはあくまでも原形で、すぐに今のスタイルを見出したわけではありません。今では決まり文句になっている「〇〇でござる」も当時はまだなかったですからね。

SNS投稿する度に、「手がちょっと大きくない?」「もっとこうしたほうがいいのでは?」と、そんな風に頂くフォロワーさんからのコメントを参考に、今のスタイルに辿り着いています。

日比:フォロワーさんの声を聞き、修正を続けて、今のスタイルができているんですね。当初は1万人だったフォロワーさんが、どうやってここまで広がったのか、気になります。

山田:その頃はまだ、Facebookだけにしか投稿していなくて、始めた当初は100いいね!くらいだったのが、だんだんと1,000いいね!もらえるまでにはなっていました。1000日チャレンジを終了する頃には「あるある」ネタも確立されていたのですが、特に大きな反応はなかったんです。

そこから進展があったのは、「Instagramでイラストを投稿している人がいるから、一度投稿してみたら?」という妻の一言がきっかけでした。

それですぐにイラスト用のアカウントを作って、過去のストックを毎日投稿していくと、1,000人、2,000人…と徐々にフォロワーが増えていって、もともとやっていたブログのフォロワー数を超えてしまったんです。

そうして続けていくうちに、ある日「浮世絵であるあるが、今ブーム!」みたいな記事が、LINEニュースに載ったんです。その少し前に取材を受けていたバズフィードの記事がネタ元なんですが、それが火種になってフォロワー数が一気に増えたんですよ。びっくりすることに、1日で5万人くらい!もう、 1秒で100人増えていくみたいな。

日比:1秒に100人て…。すごいですね!

山田:誤動作かと思いますよね(笑)。その後、ねとらぼ、ヤフーなどにも載り、ニュースの連鎖で、結果的にフォロワーが10万人くらいにまでなりました。それからは、フォロワーがフォロワーを呼ぶようなかたちで、今の数まで徐々に増えていきました

ルールを決めて、自分のスタイルは崩さない

日比:今でも毎日一投稿されているとのことですが、その作品は、どのように作られているのでしょうか?

山田絵を描く時間でいえば、1枚あたり大体30分くらいですね。ネタは、誰にでも起こり得る日常の出来事を、メモにして書き留めています。その出来事に自分でツッコミを入れてみてネタに落とし込み、言葉を決めてからイラストを描いています。

日比:1,000日というのも、1日1枚というのもすごいなと思うのですが、なぜ続けられるんですか?

山田:僕自身、もともとコツコツ物事を進めるのが好きなタイプというのもありますが、やっぱり絵を描くのが嫌じゃないからでしょうね。毎日ランニングしようと言われたら絶対にムリですけど、おそらく、お金をもらえなくてもやりたいことだからできるんだと思います。そういう事って、きっと誰にでもあると思いますよ。

日比:これまでずっと同じ作風でやってらっしゃいますが、たまに変えたくなることは無いんですか?

山田:正直ありますが、そこはグッと我慢しています。というのも、何度かいつもと違う作風のイラストを投稿してみたことがあるんですよ。そうしたら、Instagramのフォロワー数が明確に減ってしまって、それ以降は作風は変えないようにしています。

ちなみに、それがこの兜シリーズです。

日比:すごく変わりましたね!また、どうしてこのイラストを?

山田:男性のフォロワー数が少なかったので、男性が楽しめるコンテンツを提供したいと思ったからです。でもそれは、結果的に世界観を崩すことになってしまった。特に、Instagramのフォロワーさんにとっては、自分のタイムラインにいつもと違うコンテンツが流れてくるというのは、すごく心地が悪い事なんだと、その時に初めてわかりました。だから、Instagramでは、世界観やイメージの統一はとても大事だと思います。

例えば、ライブを見に行ったとして、自分が大好きな曲がものすごくアレンジされていたらがっかりすることってありません?それと一緒で、意外にも変わることは望まれていないんですよね。だから方向性がある程度定まったら、それをやり続けるほうがいいと思っています。

今ありがたいことに、様々な企業さんからお声がけいただいて、コラボレーション企画なんかもしているんですが、お仕事させていただくにあたって、山田全自動ルールを作っています。そのルールというのは、基本的には2色しか使わないとか、似顔絵は書かないとか、自分から営業をしない、ということ。世界観を崩さないように、最低限のルールは設けています。

日比:ネタを作る上で、何か気をつけていることはありますか?

山田:僕の場合、フォロワーさんの約8割が女性なので、女性が嫌がるようなコンテンツは載せないようにしています。あとは、特定の人物だと断定されないネタにしていますね。もし人物が特定されてしまって、「これ私かも?」なんて思ったら、笑えるものも笑えなくなっちゃうじゃないですか。

次に仕掛けるのは、「海外あるある」

日比:書籍にはじまり、個展や企業とのコラボレーションなど、活躍の場がどんどん広がっていますが、今後の展開として、挑戦してみたいことはありますか?

山田:現在、フォロワーの約1%が海外の方なんですが、そこをもっと広げていきたいと思っています。面白いことに、僕の投稿を毎日、台湾語に翻訳して投稿してくれているアカウントなんかもあるんですよ。去年は、バルト3国のリトアニアで行われた「Now Japan」というフェスティバルで、僕の作品を展示していただきました。

そのイベントの様子を写真で見せてもらったら、外人さんが僕のイラストをめちゃくちゃ真剣な顔でみてるんですよ。まるで、「これが、かの有名な北斎のスタイルか」なんて眼差しで。でも、僕のイラストって、そんな真剣に見る作品ではないじゃないですか(笑)。

だから、海外の人にもちゃんと笑いを届けられる作品を作りたいなって思ってるんです。

日比:言語の壁もありますし、海外の方は笑いのツボも違いそうですし、難しそうですね。

山田:そうなんです。国民性でもきっと違いがあると思うんです。イラストだけで伝わる作品の方がいいのか、今と同じように何かテキストで表現する方がいいのか、色々これから模索していこうと思っています。また新たな挑戦になるので、楽しみですね。

河村 健司
ライター
河村 健司

AI特化型webメディア Ledge.ai(レッジエーアイ)副編集長。お酒と遊びの留学を終え帰国後に大学中退。その後PC持ってインドにふらっと4ヶ月ほど。後にレッジにジョインし、兼ライター/エンジニアも。副業はインフルエンサーラボのライター、ジーズアカデミーチューター

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