influencer lab
【新着記事】 【編集追記】Twitter流入70%越え。”Twitter”の話題は盛り上がるを実証。_”バズるアカウントには法則がある” TwitterおじさんとWeb系ツイッタラーが語る、Twitter論
influencer lab
post valuation
発信力やコミュニティは個人の無形資産。ビジネスモデル図解のチャーリーさんが語る「コミュニティ観」
インタビュー

発信力やコミュニティは個人の無形資産。ビジネスモデル図解のチャーリーさんが語る「コミュニティ観」

YouTuber、ツイッタラー、そしてインスタグラマー。SNSで活躍するインフルエンサーには、芸人並の濃い個性・タレント性が求められるというイメージを持つ人も多いことでしょう。

しかし実際には、特定のパーソナリテイとは独立した「コンテンツ(メジャーな例では、キャラ弁や動物写真)」を売りにするインフルエンサーも多数います。本記事でご紹介するのは後者のようなコンテンツをコアに活躍する近藤哲朗 (通称・チャーリー)さん(株式会社そろそろ 代表取締役社長)。

近藤さんは、ビジネスモデルを図解で表現する「ビジネスモデル図解シリーズ」を去年12月に開始。瞬く間に人気となり、今年の9月には出版も決まっているのだとか。当メディアでも紹介したSHOWROOMも図解されていたので事例としてご紹介します。

なぜ近藤さんのコンテンツはこれだけ人を惹きつけ、人を集めるのでしょうか?インタビューを通じて、その秘密に迫ります。

インターネットで発信したいコンテンツはあるけれど、自分を前面に出すのは苦手。そんな方は、ぜひご覧ください。

Interview / インフルエンサーラボ編集長 日比朝子 (@Solshka)

プロフィール

近藤哲朗(@tetsurokondoh)さん 株式会社そろそろ 代表取締役社長 

面白法人カヤックに入社後、ディレクターをつとめる。2014年、カヤックで出会ったメンバーと株式会社そろそろを創業、代表をつとめる。これからの企業経営には、社会性と経済合理性と創造性がバランスよく生み出されることが重要になると考え、「ソーシャル」×「ビジネス」×「クリエイティブ」の三方良しをつくることをミッションとする。

「この感動を伝えたい」10日間 夢中で描き続けた

日比:ビジネスモデル図解を始めた、きっかけは何でしょうか?

近藤さん(以下、敬称略): 2017年9月ごろのこと。AMPというメディアに掲載されていたアメリカの保険サービスLemonadeのビジネスモデルに感動したことがきっかけです。もともと「仕組み」には興味を持っていたんですが、このLemonadeの仕組みには、特別に感動しました。「本当によくできているな。この感動は、誰かに伝えたいな」という気持ちが湧いてきて。人への伝わりやすさを考えて、図解という形で仕組みを表現したんです。そしたら、ビジネスモデルを図解するということの伝達力に気づいて。そこから、10日間夢中になってビジネスモデル図解を描き続けましたね。行き場のない衝動と勢いで動いていた感じです。あのときは本当に手が止まりませんでした。

参考:https://amp.review/2017/08/25/lemonade-insurance/

出版確定をきっかけにコミュニティ形成へ

日比:Lemonadeの図解をするとき、気をつけたことはありますか?

近藤:なるべくシンプルに誰かに伝えようと考えました。複雑だとわかりにくいから、一枚の図であることにはこだわりましたね。誰・なに(関係主体)が、どのように関係しているか。その関係主体同士には、ヒト・モノ・カネ・情報がどのように流れているか。関係主体の中で重要なのは何か。このポイントは押さえるようにしています。

日比:描かれた後は、どうされましたか?

近藤:Twitterモーメント(https://twitter.com/i/moments/904287344496279552) にあげました。すると、

記事にしてほしいという声をいただき、記事化したら一気に拡散をされて。翌日には出版社の方から連絡があり、出版の話になったんです。

今後は「ビジネスモデル」「ビジネスワード」の2つをテーマに、別々の出版社から1冊ずつ出版が決まっています。9月に出版予定のビジネスモデル図解の本には、100のビジネスモデルを載せる予定です。

日比:100もですか!多いですね。

近藤:そうなんですよ。これ、一人で粛粛(しゅくしゅく)と描いていくこともできたのかもしれないですけれど、やっぱり100を一人では無理だなとおもって。他の方の手を借りることにしました。そこで、「ビジネスモデル図解制作委員会」の発足を決意したんです。

日比:出版がきっかけだったんですね。

近藤:はい、もともとコミュニティ形成を考えてはいましたが、本の出版が直接のきっかけとして大きいですね。出版に向けて委員会を発足して、今年の1月に最初の説明会を開きました。説明会には、3回で120人くらい来てくださって。今は81人の方がなにかしらの形で委員会に関わってくださっています。

うまくいくコミュニティの3要素

日比:なぜチャーリーさんのファンとしてサポートを募るのではなく、委員会としてコミュニティを作ったのでしょうか?

近藤:もともと僕は、自分一人でやっていくのではなく、みんなでやっていけるような仕組みをつくることに興味を持っています。だって、一人でずっとやり続けるとどこかでバテたりして、結局続かなかったりしますよね。自分が頑張ればできるけど、自分が頑張らないとできない状態って気合いの問題じゃないですか。でも気合いだとなかなか物事は続かない。だから、きちんと継続性を担保するためにもコミュニティという形の仕組みにしたかったんです。

せっかくコミュニティにするからには、どんな人も参加できるようにしたいと考えてかなり試行錯誤しました。コミュニティ形成を通しての学びは、有料記事ではありますがnoteにまとめています。

参考:https://note.mu/tck/n/n788281571227

つくる過程もオープンにしたことで、アウトプットの質が上がった

日比:コミュニティを作って運営していくことと、発信力とは相関がありますか?

近藤:どこまであるのかわからないですけれど、ビジネスモデル図解をはじめてからTwitterのフォロワーは増えています。去年の9月時点では2,000人もいなかったのですが、いまは1万フォロワーになりましたから。半年ちょっとで5倍くらいですね。

日比:なぜこれだけフォロワーが増えたのだと考えていますか?

近藤「ビジネスモデルを図解する」というジャンル自体に、僕が思っている以上にニーズがあったからだと思います。

日比:どんなことを意識して発信していましたか?

近藤:委員会の様子など図解の過程をオープンにしていくことは、意識して発信していました。出版にむけたミーティングの写真をあげたりして本の制作過程を積極的に公表することで、多くの方に関わってもらえるようになると考えたからです。そうすることで、時には図解をしたビジネスの創業者の方から、コメントやアドバイスをもらったこともあります。こうやってオープンにすることでフィードバックをいただく機会が増えて、結果的にコンテンツ自体の質も上がっていったと思います。

コミュニティや発信力は、個人の無形資産

日比:近藤さんは、コンテンツをコアに形成されたコミュニティを、今後どうしていこうと考えていますか?

近藤コミュニティからマネタイズするのかというのは1つの議論としてあると思います。現時点では、明確に決めていません。できるだけオープンにしたいという思いはありますが、僕がサポートできる人の数にも限界がある。なので、たとえば、委員会への入会時に熱量を測るスクリーニング機能として「お金をとる」ということを取り入れるかもしれない。ここはセンシティブなのでしっかりと考えて動きたいと思っている部分です。

日比:コミュニティとお金の関係をどう捉えているのでしょうか?

近藤:そもそも僕はコミュニティを無形の資産だと捉えています。コミュニティに限らず、個人の信用や発信力も同様に無形の資産。会計を学んだ方はわかるかもしれませんが、無形資産を短期的にマネタイズをしようとすると、資産の価値は減ってしまう。無形資産を、お金という有形の資産に変えていくのは絶妙なバランスを保つことが必要だと考えているんです。だから、慎重になりたい。短期的な視点よりも長期的な視点が大事だと思っています。

日比:個人の価値を、バランスシートで捉えられているんですね。

近藤:そう捉えてみてもいいんじゃないかなとおもっています。会社と同じく個人も、バランスシートで自分の価値を表現してみると理解しやすい。

これはあくまでも1つの考え方ですが、個人がTwitterに登録することで、その人はパブリックになる。会社でいうと、上場して株式が自由に売買できる状態ですね。そして、その個人への期待が高まれば、フォロワー数が増えていく。期待が下がるとフォロワー数が減る。不祥事を起こした企業の価値が下がるのと似た感覚です。そう考えると、フォロワー数とその個人が持つ信頼やコミュニティといった他の無形資産を合わせれば、個人の時価総額のようなものとして捉えることもできるのではないかなと。

ビジネスとソーシャルの 壁を無くす

日比:今後はどういうことに挑戦されたいですか?

近藤:ビジネス×図解という領域を深めていきたいです。

例えば、ビジネスモデルを考えたい・分析したいという人みんなが使えるツールを作りたいですね。そのツールを使ってもらうことで、ビジネスモデルのデータが自然と集まってくるようになるのが理想です。もし1万通りくらいのデータが集まれば、失敗するビジネスと成功するビジネスのパターン化ができますよね。そうすれば、ビジネスを作ることへの心理的ハードルが下がって、社会性のある領域でのビジネスも生まれやすくなるかもしれない。

こうしたことを通じて、世の中に大きなインパクトを持つ企業を、より社会にいい影響を与えるソーシャルな存在にしていきたいと思っています。僕の会社、株式会社そろそろはまだまだ小さな会社ですけれど、図解を通じてそういうことができたらなと思っています。

インタビュー後記

チャーリーさんが考えるビジネスxソーシャルxクリエイティブの話は、以下の記事にぎゅっとまとまっています。興味のある方はぜひこちらを。

参考:https://note.mu/tck/n/n590483b4ae22

 

日比朝子
ライター
日比朝子

インフルエンサーラボ副編集長 兼 コミュニティマネージャー / 個人が自分の強みを発揮して、輝ける社会にする!もっと個性豊かな人たちが発信力を持つことで、社会は面白くなると思う。インフルエンサーラボでは、インタビューを通して、インフルエンサーの魅力を伝えていきます。

keywords

relarion

pick up

interview