ソーシャルメディアの流行によって、注目が集まっている「インフルエンサー」という存在。企業の関心も高く、経済効果も期待されています。
本記事では、インフルエンサーとはどのようなものか、そして今後ますます盛り上がっていくと予想される市場規模について解説します。
インフルエンサーとは
「インフルエンサー」とは、特にインターネットメディアにおいて、消費者の行動や意思決定に影響を与える人物のことを指す、マーケティング用語です。「影響を与える・感化する」などの意味を持つ単語「influence」という言葉が基になっています。
代表的な例としては芸能人やファッションモデル、スポーツ選手、特定分野の専門家や政治家などが挙げられます。
ブログやTwitter、Instagram、YouTubeなどソーシャルメディアの普及に伴い、芸能人のような人以外でも影響力を持つようになってきているのが、ここ数年の注目すべきトレンドです。一般人にも関わらず数万人規模のフォロワーを持つインフルエンサーも少なくありません。
インフルエンサーマーケティングとは
インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサーが持つ資産(フォロワーやファンおよびそれらの人々からの信頼)を活用するマーケティング手法です。インフルエンサーが紹介した商品やサービスがネット上で話題になり、爆発的に売上を伸ばすような事例があるため、企業からも注目されています。
具体的には、インフルエンサーに商品やサービスを実際に利用してもらい、そのプロセスや感想などをソーシャルメディアに投稿してもらう、といった手法がとられます。ファンの多いインフルエンサーにシェアしてもらうことで、商品・サービスの知名度向上や口コミの増加を狙えるのです。
一般消費者に近いインフルエンサーの目線で商品・サービスをわかりやすく紹介してもらえるだけでなく、特定のターゲットを狙って質の高いアプローチをかけやすいというメリットがあります。
盛り上がるインフルエンサー市場
もともと、Twitterのフォロワー数が多いユーザーや人気ブロガーをマーケティングに起用することは、一般的な手法として活用されていました。ところが、いわゆるステマ問題で芸能人のブログが炎上したことをきっかけに、「やらせ」「サクラ」などのネガティブイメージがついてしまい、いったんは下火となります。
しかし、Instagramの流行や、YouTuberが人気を獲得したことにより、再びインフルエンサーに注目が集まっています。
2017年2月には吉本興業が所属芸人を活用したインフルエンサー事業への参入を発表、さらに同年5月には集英社がファッション誌を中心としたインフルエンサーマーケティング事業の開始を発表し、インフルエンサーの経済効果は今後も伸びていくことが予想されます。
インフルエンサーマーケティングの市場規模
それでは、具体的にインフルエンサーマーケティングの市場規模を見てみましょう。国内のインフルエンサーマーケティングに関するデータはまだあまりありませんが、海外で市場が拡大している点を見ても、今後日本でさらにインフルエンサーマーケティングが盛り上がってくる可能性は高いといえます。
インフルエンサーマーケティング市場は、今後5年間で50~100億ドルの市場に成長
medhiakixの概算によると、現在のインフルエンサーマーケティング市場の規模は約5億ドルであり、今後5年間で50〜100億ドルに成長すると予想されています。
その理由のひとつとして、若年層がテレビの代わりにスマートフォンやパソコンの画面を見る時間が長くなっていることが挙げられます。SNSのユーザー数が増加するにつれ、若者たちはますますテレビの広告よりもインフルエンサーのポストを目にする機会が多くなっていきそうです。
参考:http://mediakix.com/2015/12/influencer-marketing-5-10-billion-dollar-market/
Instagramのインフルエンサーマーケティングの市場規模は10億ドル
medhiakixが、スポンサードされた投稿の数とそれらに支払われているであろう広告を概算した調査によると、Instagramにおいて、インフルエンサーに費やされた広告費は年間10億ドル以上になります(調査期間は1年間ですが、いつからいつまでかは不明)。スポンサード投稿につけられるハッシュタグ「#ad」「#sponsored」などの使用回数を計測すると、過去1年間で480万回増加しており、Instagramのインフルエンサーマーケティング市場がいかに拡大しているかが分かります。
参考:http://mediakix.com/2017/03/instagram-influencer-marketing-industry-size-how-big/#gs.RoLLvKY
日本国内のInstagramのインフルエンサーマーケティング市場規模は2.4億円以上
THCOO株式会社の調査によると、日本国内におけるInstagram内のスポンサード投稿の市場規模は、年間2.4億円以上と推定されます。
2016年のスポンサード投稿数は約1,000件にとどまりますが、2015年は年間16件しかなかったことを考えると、めざましい成長をとげているといえるでしょう。このペースで増加していくとすれば、2017年には4,000件を超えていく見込みです。ユーザー数も順調に増加しており、日本国内でもInstagramのインフルエンサーマーケティング市場が拡大していることがわかります。
参考:https://ripply.biz/instagram-sponsored-posts/
まとめ
もともとインフルエンサーはテレビや映画スターなどいわゆる「セレブ」と呼ばれる人に限定されていました。しかし今では、圧倒的な知名度を得る世界的なスターから、ニッチでも特定の分野で圧倒的な影響力を持つほぼ一般人のようなインフルエンサーがまで、その裾野は広がっています。プロカメラマンのような高品質な写真や、テレビ番組のようにエンターテイメント性の高い動画を提供する人も少なくありません。
中高生が将来なりたい職業にYouTuberが登場するなど、インフルエンサーはこれからもますます活躍していきそうです。
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