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9割の案件は断る。インスタで有名な柴犬まるアカウントにみる、ブランドを守ることの大切さ
インタビュー

9割の案件は断る。インスタで有名な柴犬まるアカウントにみる、ブランドを守ることの大切さ

フォロワー数262万人。インスタグラムジャパン内で、日本第6位のアカウントであり、9月6日の日経MJの記事ではPR力1位のインフルエンサーに選ばれた柴犬まる

https://www.instagram.com/marutaro/

今や、映画にテレビに引っ張りだこです。
今回は、そんな「まる」の飼い主である小野さんにお話を伺って来ました!

Interview / インフルエンサーラボ 副編集長 日比朝子 ( @solshka )

プロフィール

外資系企業でのセールスやマーケティング経験を持つ小野さん。マーケターとして、インスタだけでなく多様なソーシャルメディアを活用してきました。
2011年の東日本大震災をきっかけに、飼い犬まるの投稿をスタート。当初は、震災後の暗い雰囲気を笑顔にしたいという想いで、投稿を続けていたそうです。

インスタグラムは一番海外と繋がれるメディア

日比:260万フォロワーは凄い数字ですが、どのようにフォロワーが増えていったのでしょうか?

小野さん (以下、敬称略):インスタグラムが人気が出る前から始めていたので、インスタグラムの成長とともにフォロワーが増えていきました。

日比:なぜインスタグラムだったのでしょうか?

小野:仕事柄、全てのソーシャルメディアを活用していたので、インスタのみに絞っていたわけではありません。

所属していた外資系企業で世界と比較した時の日本の小ささを感じていて。日本だけではなく海外に発信をしたいという思いが強くありました。Twitter、Facebookなども活用しましたが、どうしてもテキストが多くなるため、国内向けの発信に限られてしまいます。

その中で、言葉の壁がなく一番海外と繋がれるなと感じたメディアがインスタグラムでした。しばらく投稿をしていると、色々な言語でコメントがついてきて、これは海外も含めて爆発的に伸びるのではとワクワクしたのを覚えています。

インスタは写真集ではなくコミュニケーションツール

日比:どんなことに気をつけてインスタグラムの写真を投稿していますか?

小野:一番気をつけているのは時間ですね。24時間を3つに分けて、8時間ごとに1つ投稿をしています。海外を意識して、住む場所にかかわらず見てもらえるようにと思い、この時間設定にしました。これは、2011年に始めてから6年間、ずっと続けています

日比:すごいです。毎回撮影しているのですか?

小野:そうですね。基本的に撮り溜めはしません。私の考えでは、インスタグラムは写真集ではなくて、コミュニケーションツールなんです。ソーシャルメディア全体をみても、ここ1-2年で急激にリアルタイムに近づいてきています。このライブ感を意識したオーディエンスとのコミュニケーションが本当に重要です。

例えば、今日は雨が降っているのに、かんかん照りの中にいるまるを載せたら、あれ?今この瞬間のまるちゃんじゃないんだってなるじゃないですか。

だから、ちゃんと、オーディエンスと同じ環境、目線に立つことが、一番の共感を生むと思います。この継続が、エンゲージメントを高めることにもつながるんです。

日比:投稿する写真はどうやって選んでいるんですか?

小野:写真のクオリティは追求していません。オーディエンスと会話できる写真であることが大事だと思っています。ついつい話しかけちゃう、そんな写真です。

日比:オーディエンスとのコミュニケーションという観点で、キャプションはどう考えていますか?

小野:ソーシャルメディアは共感が重要です。だからこそ、会話を通して共感が得られるように、中の人の体温が感じられるような言葉を意識しています。この温度感がキーポイントです。

日比:Instagramのストーリーズと通常投稿はどのように分けて活用していますか?

小野:ストーリーは消えるというのをいかにうまく活用するかです。プライベートをチラ見せする感じ。普段よりもさらに力が抜けた脱力感のある内容にしています。もう少し、中の人の気持ちやパーソナリティが見え隠れするような。それによって、オーディエンスと距離感を縮めるツールとして活用しています。

日比:ストーリーズを投稿するタイミングは決めているんですか?

小野:特に決めてないです。思い立った時じゃないとやろうと思わない。ストーリーだとリンクが貼れるので、ブログや企業のコラボページなど外部サイトに誘導するときはストーリーを活用しています。

アカウントの世界観を作り出す

日比:ここまでの影響力を持つことになったまるですが、「まるブランド」を作り上げる上で気をつけたことはありますか?

小野「平和」であること、ですかね。ずっと一貫しているのは、笑っていることなんですよ。このアカウントを見ていると、平和だね、笑顔になるねって。だからこそ、まるのアカウントは荒れないんです。ネガティブなコメントは全くつきません。

日比:まるの写真を投稿し始めた当初から、意識していらっしゃったんですか?

小野:最初から意識していました。ブランドを作り上げるのは、とにかく時間がかかるので、パーソナリティーを一貫させることを大事にしていました。時間をかけて諦めないと決めていました。

日比:今、多くの宣伝依頼が来ていると思いますが、受けるものはどう選んでいますか?

小野:ファンの皆さんから、「まるちゃん、よかったね」って言われないものはやらないと決めています。

例えば、この前 楽天イーグルスとのコラボをしたのですが、「まるちゃん優しくされて、よかったね」という声を多くいただいて。一方で、ファンの方が、まるの可哀想な姿を想像してしまうものはやめています。結果的に9割はお断りしています。

 

今日は楽天イーグルスの本拠地 Koboパーク宮城に遊びに来たんだよ~*\(^o^)/* 楽天イーグルスの選手ともお友達になれたから紹介するね!左から背番号31番 美馬選手(投手)、背番号35番 島内選手(外野手)背番号5番 茂木選手(内野手)だよ~!今日の試合の前に一緒にお写真撮ってもらったんだ~ 今日撮影した写真はコラボグッズとして5/27にKoboパーク宮城で発売されるから楽しみにしててね~*\(^o^)/* この日はイーグルスガールズデーだから応援に来てくれた女子には先着でピンクのユニフォームをプレゼントされちゃうらしいよ!5/27はみんな参加出来るトークショーやスマイルグリコパークのお散歩タイムもあるから楽しみにしててね #まるはスタメン落ち #もう少しキャッチが上手にならないとダメらしい #全部パパのせい #プロの壁は高かった #練習あるのみ #柴犬鷲4兄弟 #楽天イーグルス #5月27日はイーグルスガールズデー #5月27日はkoboパーク宮城に全員集合 #rakuteneagles

Shinjiro Onoさん(@marutaro)がシェアした投稿 –

継続は力なり

日比:フォロワーが増えてから、意識的に変わったことはありますか?

小野:社会的に影響力のあるアカウントになっているので、炎上しがちなキーワードは使わないように気をつけています。あとは、投稿をやめないこと。1日3回の投稿をとにかく休まずに続けています1日でも休んでしまうと、あれ?まるちゃんどうしたの?となってしまうので。

日比:それを継続するのはものすごく大変だと思うのですが、コツはありますか?

小野:無理をしないことですね。写真のクオリティにはこだわらない理由はここにあります。良い写真をあげるのが目的ではなく、3回投稿するのが目的だということを忘れない。3回投稿できるクオリティはどこなのか、を意識しています。
このバランスはすごく難しくて。みんなが共感するポイントと、自分が満足するポイントは乖離があるので、それをどこまで近づけられるかですね。継続は力なりです。

案件を断ってでも自分のブランドを守るのが大事

日比:企業とインフルエンサーの不平等な関係性を問題視する声も上がっています。企業と交渉する中で、個人としてのインフルエンサーはどう対応したら良いのでしょうか?

小野:大きく3つのポイントがあります。
インフルエンサー自身が、”お金をもらう以上責任が発生するという意識”がまず大事です。責任の取り方がすごく軽い方もいらっしゃってもったいないなと思います。例えば、味噌ラーメンを頼んだのに醤油ラーメンがでてきたら、もうその店に行かないじゃないですか。何が求められているのか、求められているものを出す、というのが「責任」です。

日比:求められているものを理解するのもなかなか難しいと感じる方もいらっしゃいそうです。

小野:そうですね。その難しさもよくわかります。だからこそ相手の要望を受けるだけではなく、不明な点がなくなるまで”お互いの理解を一緒にすること”が次に重要な点です。クライアント企業が、何をして欲しいのか、それによって何を目指しているのかについて、相手と合意形成を行うことです。

ここが、きちんとできていないと、味噌ラーメンというオーダーだったのを、誤解してしまい、醤油ラーメンを提供することになってしまう。それでやり直しになってしまったらお互いに不幸じゃないですか。だから、最初に合意しておくのも本当に大事です。

日比:最後、3つ目のポイントは?

小野:最後のポイントは、”自分のブランドを守ること”です。先ほども言った通り、ブランドを築くのは時間がかかります。「損して得とれ」という言葉があるように、企業からの案件を全部受けてしまうとせっかくのアカウントのパーソナリティがブレてしまいます。ビッグクライアントにたどり着くには、積み重ねが大事。一貫してブランドを守ることが重要なんです。

企業の人が求めているままに宣伝するのではなく、自分のブランドスタイルを伝えてみてはどうでしょうか。オーディエンスはそのブランドを求めてアカウントを見にきています。自分のブランドスタイルと企業の要望を調整できないか交渉の余地はあると思います。その方が、企業にとっても良い場合もあるので。

ラーメンの例でいくと、「味噌ラーメン」という注文がくる前から、醤油ラーメン専門店であることを明示して、それでも頼みたいなら醤油ラーメンを食べてください、という交渉の仕方です。企業は興味を持って連絡して来ているので、ちょっとくらい生意気なことを言っても許されるのでは (笑)

やはり、自分のスタイルを貫いていると、結果的にどこかにつながるとも思います。その企業がダメでも、担当者の方が「こういう子がいるよ」と他の方に紹介してくれるとか。まだ自分のスタイルが見つかっていない人も、まずは企業の方と話してみることをお勧めします。話している中で自分はこういうことがしたいんだ、というのが見つかるかもしれません。

日比:今まで多くの企業の方と話してきた小野さんだからこその貴重なアドバイス!ありがとうございます。

海外の人が、日本に来たくなるような発信をしたい

日比:最後に、今後挑戦してみたいことを教えてください。

小野:当初の思いであった海外との繋がりがまだ不足していると思っています。ファンの多くは、海外の方なので、日本に来たい!と強く感動するような発信をしていきたいです。

日比:そのために具体的に考えていることはありますか?

小野1-2ヶ月の旅をしたいですね。以前、実験的に10日間北海道の旅に行ったのですが、ファンの方がずっと一緒に旅行している感覚でアカウントを見に来てくれていて。これをもっと長期間にして、日本の良いところを発信していきたいと考えています。

日比朝子
ライター
日比朝子

インフルエンサーラボ副編集長 兼 コミュニティマネージャー / 個人が自分の強みを発揮して、輝ける社会にする!もっと個性豊かな人たちが発信力を持つことで、社会は面白くなると思う。インフルエンサーラボでは、インタビューを通して、インフルエンサーの魅力を伝えていきます。

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