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『PinQul』が考える、デジタルネイティブならではの「正しいインフルエンサーマーケティング」
インタビュー

『PinQul』が考える、デジタルネイティブならではの「正しいインフルエンサーマーケティング」

 今年6月には『Live Shop!』が。続く7月には『メルカリチャンネル』がリリースされたように、ライブコマース市場は大いに盛り上がりを見せています。大手を含め参入が相次いでいる中、今年10月には、『PinQul』がリリースされ話題を集めました。

『PinQul』は、MERYを運営していたペロリ元代表の中川綾太郎氏や、フリークアウト代表取締役の佐藤裕介氏から資金調達をしている点。そして創業メンバーが東大在学中の現役学生を中心としている点などで注目されています。

前編に続き、後編では、PinQulを運営する株式会社Flatt 代表取締役CEOの井手康貴氏と、CCOの豊田恵二郎氏に、デジタルネイティブ世代ならではの価値観に基づく「あるべきインフルエンサーマーケティング」の姿を伺います。

Interview / インフルエンサーラボ編集長 大久保亮佑 ( @03rysk )

プロフィール

井手康貴氏:株式会社Flatt CEO (写真左)

豊田恵二郎氏:株式会社Flatt CCO (写真右)

デジタルネイティブはPRが嫌い?

大久保:他媒体の記事の中で、インフルエンサーマーケティングは信用の切り売りだと言及されていらっしゃいましたが、その課題感はどのような経緯で感じられたのでしょうか?

豊田:もともとは肌感で感じていたことでした。恐らく同世代であれば誰もが持っている感覚だと考えています。InstagramのPR投稿はここ数年で一気に増えましたよね。YouTubeでもPR投稿が非常に多い。どんなに人気なインフルエンサーでもPRをやるとコメント欄が荒れることも珍しくない。PR投稿が正しいか否かの議論は置いておいて、ユーザーが嫌がっているのはほぼ間違いないと思っています。

井出:実際インスタグラマーの方とお話をしていても、そういった課題感は感じていらっしゃるので、提供者側も含め共通で抱えている課題だと思います。

豊田:ご質問にもありましたが、PR投稿は信用の切り売りです。企業からお願いするのではなく、本人が自主的に商品を紹介するのが一番望ましい。我々はそれを今、やろうとしているんです。

大久保:実際にPR投稿が流れると同世代の方々はどのような反応をされていらっしゃるのでしょうか?

豊田:スルーすることが多いと思います。例えばInstagramだと、スワイプしていく中で目に留まったのを見ると思いますが、PR投稿はそもそも目にとまらない。ある研究論文によると、インターネット上で一般的に広告などが並ぶ右側はアイトラッカーで見てもほとんど見られていないそうです。これは、我々の肌感としても納得感がありました。

井出:小さい頃から携帯電話やインターネットと触れてきたデジタルネイティブであれば、広告は基本目に入っていないと思いますね。

「距離感を感じさせないこと」が共感への最短ルート

大久保:PR投稿への嫌悪感が強い世代だからこそ、サービス内での表現にも気を遣われているかと思います。例えば出演されているインフルエンサーの方に伝えられていることなどはありますでしょうか?

井出:基本的には最低限の考え方やルール程度しかお伝えしていません。細かい指示などは一切出さず、自由にやってもらうようにしています。

豊田:見ている人とインフルエンサーの距離感が離れないように、運営の存在を感じさせないため、という意図もあります。運営が見える必要は全くない、むしろ見せない方がいいと考えています。女の子がそこにいて、インスタライブくらいの距離感でライブ配信をしているのがいい。他のライブコマースサービスですと、たまに出演者が面白いことを言った時にカメラの後ろから笑い声が聞こえることがあるんですが、その瞬間、距離感が一気に遠くなってしまいます。

大久保:確かに、他の人の存在を知るとちょっと冷めるような感じはしますね。

井出共感でものを動かすためには、距離感が近い方がいい。自分にも似合うんじゃないか、自分でも使えるかもと、自分ごと化できるほうが売れるんです。ライフスタイルなどには憧れるけどTVや雑誌のモデルより近い距離がいい。逆にトップモデルを起用したこともあるんですが、やはり売れませんでした。それよりも、説明がうまい主婦の方がいいかもしれない。ママ層でも、男性でも全然いいと思います。距離感の近さが鍵です。

豊田:ライブという伝え方が大きな価値を提供しているとも感じています。ライブはリッチなストーリーを伝えられるので、上手い人がやれば、しっかりと情報が伝わる。さらに、ライブだと嘘がすぐにわかってしまうので、嘘をつきにくいことも価値に繋がっているかも知れません。

大久保:台本を用意していたら分かりますし、リアルタイムなので嘘をつくのも難しいと。

豊田:おっしゃるとおりです。準備万端に配信をするよりも、むしろ想定外なハプニングがある方がいい結果になることもあります。例えば、先日の撮影でライティングを失敗したことがありました。商品が白い服だったのですが、ライトが強すぎて白飛びしてしまったんです。するとインフルエンサーの方が「やばい!」「事件だ!」とはしゃぎ始めて、コメント欄がすごく盛り上がったんです。失敗も面白く対応できれば親近感に繋がる。その近い距離でのコミュニケーションは、ライブだから提供できる価値なんです。

インフルエンサーのコミュニティはお金で買えない価値になる

大久保:そうすると、インフルエンサーの方々のスキルが重要になってくるように思います。現状はインフルエンサーをどのように集めておいらっしゃるのでしょうか?

豊田:いまは一人ひとり声をかけています。代理店を通して集めるとやらされている感がでて、PR投稿のようになってしまうので、熱量をもって楽しんでやってもらえる仕組みを作りたい。そのために一人ひとりお会いして、直接しっかりとコミュニケーションを取っています。我々を含めた経営メンバーも直接お会いし、ビジョンの共有もしています。

井出:あとはインフルエンサー同士横のつながりもあります。過去の共演した人を連れてきてくれる人もいるので、それぞれにしっかりと想いを伝え、次に繋げるよう意識しています。

大久保:個別に声をかけていくとなかなか効率化が難しいように思いますが、今後拡大していくために何か考えていらっしゃるアイデアなどはありますか?

豊田今後はコミュニティを作っていくことを目指しています。私は以前ラブグラフでインターンしていたのですが、あの会社のコミュニティ作りはとても参考にしています。

井出:ラブグラフは競合サービスがいくつか存在するにもかかわらず、カメラマンの中にはラブグラファーになることに憧れている人も多い。ラブグラファーになった人は大体プロフィールに書いており、ブランディングとしても成立しています。我々も同じようにメンバーになりたいと思うコミュニティを作っていきたい。コミュニティの価値はお金で買えないですし、大企業にはなかなかできない。大きな差別化要因になるはずです。

豊田:ラブグラファーのコミュニティは本当に素敵なんです。頻繁に同じエリアの人同士で集まっていますし、みんな仲がいいです。

井出:それは絶対お金では買えません。我々は、インフルエンサーの方と受発注の関係になりたくないんです。現在は出演料をお支払いしていますが、お金が絡むと金銭的な関係になってしまいます。できれば早めに出演料だけではない関係性を構築していきたい。そのための試行錯誤もすすめています。

ライター
大久保亮佑

インフルエンサーラボ創刊編集長。企業向けのSNSマーケティング情報発信メディア、ソーシャルメディアラボ( https://gaiax-socialmedialab.jp/ )の編集長も務める。

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