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インフルエンサーがライブ配信で販売するライブコマース『PinQul』とは?
インタビュー

インフルエンサーがライブ配信で販売するライブコマース『PinQul』とは?

今年6月には『Live Shop!』が。続く7月には『メルカリチャンネル』がリリースされたように、ライブコマース市場は大いに盛り上がりを見せています。大手を含め参入が相次いでいる中、今年10月には、『PinQul』がリリースされ話題を集めました。

『PinQul』は、MERYを運営していたペロリ元代表の中川綾太郎氏や、フリークアウト代表取締役の佐藤裕介氏から資金調達をしている点。そして創業メンバーが東大在学中の現役学生を中心としている点などで注目されています。

今回はPinQulを運営する株式会社Flatt 代表取締役CEOの井手康貴氏と、CCOの豊田恵二郎氏にお話を伺い、ライブコマース市場を選んだワケやサービスの展望を伺いました。

Interview / インフルエンサーラボ編集長 大久保亮佑 ( @03rysk )

プロフィール

井手康貴氏:株式会社Flatt CEO (写真左)

豊田恵二郎氏:株式会社Flatt CCO (写真右)

Interview / ソーシャルメディアラボ編集長 大久保亮佑 ( @03rysk )

中国での気づきが、日本でのライブコマースへと繋がった

大久保:ライブコマース領域に興味を持ったきっかけを教えていただけますか?

井手氏 (以下、敬称略):もともと起業するつもりで、どのような領域に挑むかを悩んでいました。その中でライブコマースを選んだのは、中国を訪れた時にその勢いを強く感じたからです。

Flattの創業メンバーの一人が、中国語に精通しており、また中国についてもとても詳しく、私は彼と一緒に中国に訪れたことがありました。現地では電車の中など含めライブ配信を見ている人がとても多いんです。

それをきっかけに興味を持ち、ユーザー観察をしたり、話を聞いたりといった研究調査を重ねる中で可能性を感じ、挑戦する決意をしました。

大久保:事業領域を選ぶ時の判断基準はどのようなものだったのでしょうか?

井手:私自身元々メルカリでエンジニアをしていたこともあり、B向けのビジネスではなく、C向けのビジネスをやりたいという思いはありました。その中で、市場規模のような数字的側面が担保でき、モチベーションが続くか、意義を感じられるかといった感情的な側面でも満足いくものを探していました。

大久保:なるほど。とはいえ日本と中国ではライブコマースの事情も異なると思います。その点はどのようにお考えでしたか?

井手:おっしゃるとおり、状況は大きく異なります。中国では購買における信用がないことを背景としてライブコマースが発展しています。物を買える場所も少なく、売っているものが本物かどうかも怪しい。ブランドショップでさえ偽物ではないかと疑われるそうです。ライブコマースはその信用を人が補うという役割を果たしている。

一方、日本の場合は状況が異なりますから、別の文脈が必要です。そこで私が日本でもイケると考えたのは、動画を通したコミュニケーションの価値。人と人がコミュニケーションを取り購買する体験が価値になるのではないかと考えました。

大久保:なるほど、そこまで整理した上で開発に着手されたんですね。

豊田氏 (以下、敬称略):はい。今年5月に会社を立ち上げ、3ヶ月ほどの開発期間とβ版期間を経て、10月5日にリリースしました。

お財布を手に持った状態でライブを見てもらう

大久保:国内でもすでに大手含めてライブコマースのサービスは数多く存在しています。競合についてはどのようにお考えでしょうか?

豊田:「ライブコマース」というワードの中に包括される事業者は数多く存在すると思います。ただ、同じライブコマースでも我々が展開しようとしている分野での競合はいないと考えています。さまざまな人から同様な質問を受けるのですが、同じライブコマースでもよくよく見ていくと4つに大別されます。

4象限をイメージしていただければと思いますが、軸が2つあります。1つは「BtoCかCtoC」の軸。もう1つは「機能型かプラットフォーム型」の軸です。機能型は元々あるプラットフォームに機能としてライブコマースをつけたもの。プラットフォーム型はライブコマースのために作られたサービスです。

BtoCでは1番組で大量に商品をさばく必要がありますが、CtoCでは大量にはさばけません。機能型とプラットフォーム型ではKPIにおく数字が異なります。ライブコマースは競合が多いと思われますが、この4象限に当てはめると我々の競合は、現状LiveShop!しかいないんです。またLiveShop!とうちも毛色が違う。ですから実質競合はいないに等しいと考えています。

大久保:同じライブコマースでも、メディアコマースなどは考えなかったのでしょうか?

井手:過去の事例を見ていく中で、メディアコマースは上手くいかないだろうというのが私なりの結論です。たとえば雑誌まで展開し、売り切れ続出だったMERYもコマースはそこまで上手くいきませんでした。同様にC CHANNELもまだまだコマースは成功していない。メディアに軸足を置いてコマースへ展開するよりは、コマースを軸にした方がユーザーの接触態度が違うのではないかと考えています。

大久保:接触態度。具体的にお伺いできますか?

井手:わかりやすく言えば、財布をカバンに入れて来ているかという違いです。MERYを見にくる人は購買するつもりで最初入ってこないので、財布を持っていない。一方AmazonやZOZOTOWNを見にくる人はそもそも購買する場と理解して来ているので、財布を手に持ち開くつもりで来ている。その接触態度でコンバージョンが変わってくるのではないかということです。

大久保:なるほど。ZOZOTOWNであれば財布を持ってきているのも納得ですが、ライブで見るときも財布を持とうという意識はあるものなのでしょうか?

豊田:サービスがコマースであると伝えることができれば問題ありません。コマースのサービスであると伝え、それでも使いたいという人がインストールしてくれれば、財布を持って見に来てくれていることになります。

KPIとしてのインストール数は多少落ちても、買いたい人がダウンロードしてくれればいい。単純にライブして話す、コーデを紹介するとったいように間口だけ広げるのではなく、ものを購入する場所ですと伝え、買おうという意識で入ってきてもらえるよう意識しています。

大久保:現状数字としては想定通りに成長しているのでしょうか?

井手:売り上げで言うと、想定をはるかに上回る数字をたたき出しています。まだまだライブコマースという体験自体は市場に浸透していないにも関わらず、ここまで売れるのかという印象です。

豊田:日本全体で一気に成長している領域なので、それこそメルカリをはじめとしたライブコマースを展開する会社さんが「ライブで買う」というカルチャーを広げる手助けをしてくれていると思っています。

フォロワー数ではなく、ライブ配信慣れしている人こそが売れる

大久保:現状ライブ配信をされている方で特に売れる方はどういった人なのでしょうか?

井手:Instagram Storiesなど他のプラットフォームで普段からライブ配信をしている子は、フォロワーもライブ慣れしているので反応がいいと最近感じています。たとえばライブに慣れているある高校生は、30個程度の商品をわずか2分半とかで売り切ってしまうんです。決してフォロワーが多いわけではないにもかかわらず、すぐ売れる。

豊田ライブコマースにおいては、フォロワー数は全く指標にならない。頭では理解していたつもりだったのですが、結果として如実に違いが出ています。

井手:Instagramでたくさんフォロワーを抱えていても、写真投稿がメインの人はライブをしても人が集まらなかったり、視聴者のコメント数が圧倒的に低かったりします。

豊田:ですから、そもそもライブに対して適性のある人をサービスへ集めてくる必要があるのです。

大久保:現状利用されているユーザーは、今のお話にあったライブを得意とする人のフォロワーとして集まった人がメインなのでしょうか?

豊田:現状はおっしゃるとおりです。もちろん、今後はインフルエンサー依存で入ってきたフォロワーに対し、さまざまな番組を視聴させていくことが必要です。

井手:複数商品を買っている方や、全然関係ない領域を得意とする複数の人から商品を買っている方など、徐々にプラットフォームを上手く活用してくれている人が登場してきています。今後はレコメンド機能などでこの流れを促進していきたいです。

大久保:最後に、今後目指している世界観を教えてください。

井手:好きなものを紹介して、それがマネタイズされるという世界観を目指しています。それを最近インフルエンサーとしてもてはやされる若い女性だけでなく、影響力を持てる人全てに提供したい。最終的にはあらゆる人にとって、自分の好きなもの発信することが、マネタイズに繋がる世界を目指していきたいですね。

ライター
大久保亮佑

インフルエンサーラボ創刊編集長。企業向けのSNSマーケティング情報発信メディア、ソーシャルメディアラボ( https://gaiax-socialmedialab.jp/ )の編集長も務める。

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